演劇

2008年5月22日 (木)

怒る富士

Ikarufuji

土曜日は国立大劇場で
前進座公演「怒る富士」を観劇してきました。

江戸時代、宝永の富士噴火によって
土地を焼けた砂に埋め尽くされた農民の苦しみと、
それを救おうとした関東郡代 
伊那半左衛門を描いた新田次郎原作『怒る富士』の舞台化です。

こう書いただけで、ものすご~い硬い感じがしますが(笑)
見ていればそれがわかるのが舞台の良さ。

政治の現場と切り捨てられようとする農民の現実の間で悩み、
自分の正義に殉じた半左衛門の姿には素直に感動を覚えました。

「生き返らない土地に金をかけても無駄だ」
「農民は土地を捨てられない」

生きる術を求めて他の土地へ出ても、
暗い淵へ落ちてしまうものも珍しくないですからね。

餓死しかないところまで追い詰められた農民に、
幕府の米をいわば強引に放出させ、
その責任を取り半左衛門は切腹するわけですが
その死が被災住民に気力を起こさせた…
というナレーションで物語は終わってゆきます。

前進座は俳優さんが本当に上手いので
観ていて、舞台の一人ひとりの人生が浮かび上がってきます。
そのアンサンブルで舞台に深みを感じます。

伊那半左衛門役の嵐圭史さんはこの作品で
文化庁芸術祭賞を受賞されていて
これはそうだろう、と思いました。

こぶしの花が好きな柔らかな感情と
理性を貫いていく姿が静かで激しいものを胸に残しました。

こう感想を書いても漢字多いし(笑)
難しい芝居みたいですけど
いいお芝居だなと思いました。
人間の品格、を感じるというのか。

※24日(土)まで、半蔵門の国立劇場大劇場で上演中です。
前進座HP

現実ではミャンマーの大型サイクロン、中国の四川大地震という
信じられないような大変な災害が起きていますね。

被害状況がどんどん拡大されていて
仕事の合間に見るインターネットでも色々なニュースが入ってきます。

我社でも被災者救援募金が始まりました。
何の力にもなれないけれど、
救援への祈りをこめて皆で協力です。

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2007年5月14日 (月)

前進座五月公演は「男の世界」

Zenshinza_3  1 2日は三宅坂の国立大劇場での前進座公演を観てきました。
演目は歌舞伎十八番の『毛抜』と真山青果・作の『新門辰五郎』
『毛抜』はもう歌舞伎の可笑さいっぱい。

髪の毛が逆立つ奇病に悩むお姫様のところへ使者としてやってきた粂寺弾正が謎を解明していくお話ですが、おなじみのお家の宝が行方知れずにという事件も起こり、すべて解決してゆく弾正はスーパーヒーロー。

でもお小姓の美少年にちょっかい出したり、腰元も口説いてみたり行動は「ちょいワルおやじ」みたいなんです

よね。

歌舞伎は何でもありだなぁ、その許容範囲の大きさ、自由な発想、ゆるゆるっとしたところが私は好きです。

もう一本の『新門辰五郎』は理詰めでいく真山青果ですから、緊迫感のある台詞のやりとりできりりとした「男の世界」。

舞台は幕末、京都。
切羽詰った状況の中で、判断一つにも命が懸かっている男たち。
血気盛んな江戸っ子火消し達と対立する会津部屋の者達の喧嘩の場面は派手な立ち回りが続き、あの広い国立劇場が狭く見えました!

舞台も面白かったんですが、パンフレットの役者さん達への質問「あなたが魅力的だと感じる、男っぽさ、男の色気とは?」というのも面白かった。
当然色々な答えがあってしばし読みふけりました(笑)

何でしょうね、男っぽさって。
私は自分の中に何か闘うものを持ってる人も、寛容さを持ってる人も色っぽい気がします。
闘いながら時々力尽きて、無意識の本心がさらけ出された時もこれまた色っぽいのではないかと思いますが…(笑)

そうそう、さっき大河ドラマの「風林火山」を見ていて、武田信玄役の市川亀治郎さんはなかなか色っぽいなぁと思いました。
歌舞伎では女形もされるから、ということもあるかもしれませんね。

劇団前進座 http://www.zenshinza.com/index2.htm

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2006年8月28日 (月)

下北ざんまい

Shijinnokoi_1 先週は木・土と二回も下北沢へ行っちゃいました!

木曜日は加藤健一事務所の二人芝居
「詩人の恋」を観に本多劇場へ。
これは観たいな~~~!とずっと思っていたので、
たまたま時間が取れたこの日に当日券で。
劇中ではシューマンの歌曲「詩人の恋」が流れ、
加藤健一さん、畠中洋さんの歌声にも酔いました。

内容はこんなシリアスなものだったんだね…。
二人のぶつかい合いと明らかにされていく過去に
美しい旋律の音楽が重なると
魂が天上に引寄せられていくような感じすらしてきます。

加藤健一さんは本当に素晴らしいな!!と思いました。
豊かな人間性が溢れて、チャーミングで。
平日の夜で満席では無かったけど、カーテンコールの拍手は熱くて
今日この劇場でお芝居を見た共有感、
あ、貴方もそう思いました?っていうような…

そう、ライブ感だ!

を感じました。

加藤健一事務所 <音楽劇>詩人の恋

Furifuri_cyder 土曜日は知人の女の子(すごくキレイな立派な大人の女性ですが(*^_^*))の、これも二人芝居でした。
こちらは場所は小さなカフェ、目の前で演じられる手作りのお芝居で、店にいた店員さん(の役)と、入ってきたお客(の役)がそのまま演じ始めるという趣向で面白かったです。

「Furi Furi cyder」という
題名そのまんま、ポップでシュールで楽しかった♪

若くてきれいで、不思議な魅力を持った女の子ふたりの
出てくる言葉も新鮮なお芝居。
ちなみにこのユニットの名前は「ダ・ガール」

いや~、演劇って色々あるね~

それにしても下北沢、はまりそうです(^_^)v

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2006年7月24日 (月)

美しい人たちの…

Kabbukiza 今月の歌舞伎座は、昼夜『泉鏡花』が並んでます。
とにかく夜の部「天守物語」は必見!と行ってきました。席はようやく取れた三階の上手端っこ。
幻想世界、というか"おとぎ話"のような世界ですね。

白鷺城の天守閣、最上階は魔界の者の住むところ。
本当は人間が来てはいけないんだけど、ここの主富姫がとらえた白鷹を追って、人間の若者、姫川図書之助が天守閣へ上がってきます。
この心真っ直ぐで爽やかな若者に富姫は恋心を抱きますが…。

というお話ですが、玉三郎の富姫はもう人間とは思えないような美しさとオーラを醸し出して(人間じゃない役ですが)、気品と可愛さと強さと伝法な魅力と…。
歌舞伎調ではなく、日常の自然なしゃべり方をしていてそれが何とも言えないリズムで惹きつけらました。

ばりばり歌舞伎調だった市川右近の朱の盤坊も愛嬌があって踊りがうまくて、でもどことなくきちんとしてて良かったです(*^_^*)

図書之助は市川海老蔵でぴったりだなぁと思います。
富姫を見つめる真っ直ぐな眼が"すずしさ"そのもの。

富姫が図書之助を見て"何て涼しい"と言う科白があるんだけど
"涼しい"というのはいい表現ですよね。
まあ、客席からはなぜか笑いが起きるんだけど(-_-;)

ちなみに私は男の人は
"やんちゃで強気で、涼しくて、明るい"っていうのが成功の元じゃないかと密かに思ってます(笑)

眼も心もクレンジングされた、多分何回も思い返すだろう舞台でした。

歌舞伎座でも、今回は大向う全くなしです。
確かにこの作品には合わないものね。

♪今月はロビーに好きなお店、「銀座鹿の子」が出店してた~♪
アイスクリームが載った"茹であずき"もちろん食べました!

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2006年3月30日 (木)

さんしょう太夫

日曜日に前進座のさんしょう太夫を観てきました。

Sansyotop 旅姿の説経師たちが物語るあんじゅ、づし王のお話です。簡潔な舞台で役者さんたちは語りも、びんざさら、太鼓、ドラなどの楽器も演奏し、お芝居もします。

人買いに売られ、あんじゅとづし王の舟が母や乳母と離れ離れになっていくところでもう涙がぼろぼろ…。
奴婢となって塩汲み、芝刈りに幼い姉弟が過酷な労働を強いられますが奴婢の仲間に助けられ何とか命をつないで生きます。
でもさんしょう太夫の仕打ちはむごく、それに耐えかね、あんじゅは奴婢仲間の助けを借り弟を京へと逃がします。そして自らは火責め水責めで殺されてしまいます。

づし王は国分寺の聖に助けられ何とか落ちのびることが出来、立派に世に出て国司となり丹後に戻ります。元が高貴な生まれの姉弟なんですね。姉の死を聞いたづし王はさんしょう太夫を処刑し、奴婢たちを解放します。
そして離れ離れになった母を探し当てめしいとなった眼に地蔵菩薩をあてると両眼が開き…
という中世のお話です。

むごいお話なんですよ。奴隷制度の苦しみもあって。
でも様式的な動きやせりふや語りが、緊張感と美しさを作り出して独特の世界を創り出しています。
何年も前に見てものすごく感動した舞台でしたが、やっぱり力のこもった何か思いの密度の濃い舞台でほんとこれは名作です!
一つのファンタジーでもあると思いますけど、心の底から出た物語なんだという気がします。

少女であっても母性の強さも感じたあんじゅですが、眼の見えないお母さんがあんじゅの死を聞き「痛かったであろう、さぞ怖かったであろう」と言う言葉にはほっと救いを感じてまた涙がぽろぽろ…。
役者さんたちのこの難しい作品への取り組みと熱意は十分伝わりましたし、前進座ならではの舞台だなぁと思います。
冷酷なさんしょう太夫の息子、三郎を演じた益城さんはよく知ってる人だけどあまりの憎憎しさに「もう、絶対挨拶なんかしないからね~!嫌いだ~」と思いましたよ、本気で!

前進座劇場の公演は終わり、あとは4月1日京都の春秋座のみですが、近い時期に全国でこの作品が上演されることを是非にと願います。

前進座ホームページ

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